効果抜群!オフトレ(中)

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スノーボーダーにとっては悲しいオフだけど、実を言うと今ほど大切な時期はないんだ。
というのも冬に入ると、スノーボード以外ではなかなか運動する機会がないもの。寒い日には、身体の動きも良くないものだ。
しかし、温かい今なら、トレーニングがいくらでもできる。しかも、動かせばスノーボードに体力を付けるだけでなく、運動細胞がよく働くので、自分が思い描いたことが、実行できるものなんだ。よく、シーズン中、思うように身体が動かないというのも、運動オンチだから。すなわち、日頃の運動習慣がないからなのだ。運動がうまい人でも年齢と共に劣っていくものなので、トレーニングは欠かせないよ。

今回は身体全体の筋力をバランスよく鍛えて行くぞ!

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Text: Shu TAKAISHI
Photo: Fusaki IIDA

 


ここまで2週間トレーニングは継続できましたか?
トレーニング癖が付いたということにして、そろそろ本格的な筋力アップを始めましょう。

先回提案させていただいたメニューの中で、唯一筋力トレーニングとして入れていた部位はどこでしょう?
そうです。やっていた方ならお分かりですが、体幹(腹回りの筋肉)ですね。
それにはもちろん理由があるわけです。
ではまずはその体幹から説明を始めましょう!
その後にしっかり上半身、下半身トレーニングも説明しますよ!
 

体幹 (腹回り筋力)

人間の運動の中心はどこでしょう?
これは赤ちゃんの運動から見て取れます。
ハイハイもできない赤ちゃんはまずお腹を中心に手や足、顔を動かし、まず腹周りの筋力が出来上がるそうです。
腹、腰の筋力がある程度成長してくるととうとうハイハイが始まり最終的に歩行できるというわけです。
これは「体幹から手足へ」という運動の基本となっており、そしてトレーニングの基本として現在では普通の考え方になっています。

スノーボードでは空中のコントロールがわかりやすいですね。
土台となる足が一旦地面から離れてしまったらどうやって運動をコントロールしますか?
そうです。
これは、まさに赤ちゃんの運動に戻るわけですね。

体幹の筋肉を鍛えるといってもたくさんの筋肉があり、それに伴い非常に多くのトレーニング内容があります。
知識なくやってしまうと思ったような効果が得られないので、専門家(トレーナーなど)がいない場合は、単純にこう考えましょう。

「スノーボードでやっている運動で体幹を使う運動って?」

ようするにこれを洗い出し、それに近い環境で負荷を与えたり近い運動速度でトレーニングするわけです。

これから紹介するものはスノーボードに近い運動には見えないでしょう。
しかし確実にスノーボードで使う筋肉を刺激しています。
 

1.腹

「腹筋」といったら六つに割れてるあの筋肉!って感じですよね。

まずは「アウフバウ」トレーニングです。
これは体幹ですが主に股関節の筋肉を刺激します。
仰向けの状態で片足を上げたり横に倒したり回したりします。
顔を起こして目線で足先を追いかけると首の強化にもなるんですよ~。

 

1.真っ直ぐ上に上げて下ろす

2.足が真っ直ぐ上がった状態から横に倒してまた上に上げる

3.横に倒した状態から反対側まで大きく足を振りまた元にもどす

4.足で上、横、下と三角を描くように回す(逆回しもやっておこう!)

両肩が地面から離れないように注意してくださいね。

次は、まさに腹筋の代表的な表の筋肉を鍛えます。

仰向けに寝た状態から、右(左)の肘が左(右)の膝にタッチするまで腰を中心に上半身を左右に捻りながら上げたり下げたりします。

これが難しければ以下の写真のように、足を着けて少し上体を起こす程度でOKです。

きれいな形でできるよう心掛けましょう。
10回を2セットから。

次は、要するに「モモ上げ」です。

この筋肉はスノーボードでライディング姿勢をキープする大きな役割意外にも、ジャンプでの足の引き付け、そしてそれはスピン速度にダイレクトに影響します。
これを聞いただけでも非常に重要な筋肉だとわかりますね。

以下の、片足&両足モモ上げはその場で止まった状態でもできますが、すべて前に進みながらやっています。
必ず背筋を真っ直ぐ立てて、できるだけ高くモモを上げましょう。

 片足モモ上げ

両足モモ上げ

次は上級者向け。
階段を上がりながらやっています。

片足10回ずつモモを上げるようにします。
走るように片足ずつ上げるなら全部で20歩。
両足同時に上げるなら10回ですね。
それを2セット行いましょう。

 

2.腰

腰は背筋を真っ直ぐに保つ重要な役割を果たし、またランディングでも大きな衝撃を受けます。
「動かす」強さよりも「固める」強さというと分かりやすいですね。

最初はうつ伏せで「えび反り」になりシーソーです。

これは見た目よりきついですよ。
最初は5往復、慣れてきたら10往復を2セットで。

 

同じく背筋を鍛えるトレーニングを紹介しましょう。

これはベンチにつかまっていますが、テーブルでもOKですね。

うつ伏せで上半身を安定させるためにどこかにつかまります。その状態で足を上げたり下げたり。
10~15回を2セット行いましょう。

 

3.脇腹

脇腹の筋肉を刺激します。

横向きで肘だけで体を支えます。
体は真っ直ぐの棒状に保ちましょう。
そこからゆっくり腰だけを上下させてください。
10~15回往復させて2セット行いましょう。

余裕があれば足を少し高い段に乗せてやってみましょう。

 

4.体幹全体

腰周りを全体的に刺激します。

最初のエクササイズは、単純に横になって転がります。
ただ腰周りだけ地面に着いて良いというルールです。
10回転を2セットくらいでいいでしょう。

余裕がある方は以下の写真のように半回転に1回止まって、背中側では「えび反り」、腹側ではVになる腹筋「Vシットアップ」を入れてみましょう。

これから紹介するトレーニングは体を真っ直ぐの棒状にして「耐える」のみ!

最低30秒、目標は1分。
できる人は3分目指してください!
前、横、後ろと順番に2セットはやりたいですね。
「動かす」強さではなく「固める」強さです。

 

下半身トレーニング

下半身はご存知の通り、人間が移動したり地面の上に立つための「土台」ですよね。

武道ではしっかりした強い下半身とリラックスした上半身が基本となっています。
スノーボードもまったく同じです。

スノーボードでは多くの場合、上半身が運動をコントロールする役割を担っているとすると、下半身はパワーを担当することが多いと言えるでしょう。

パワー担当とは何か?

1.継続的な下からの圧力に耐える
2.強く蹴る
3.一瞬の突き上げる力(衝撃)を吸収する

このような役割と理解ください。

ターンにおいて下半身が運動始動する場合もありますし、スピンを掛ける際に足元を捻るように掛ける人もいますので、一概に下半身が「パワー担当」とは言えません。

しかしながら確かに言えるのは「上半身より下半身は明らかに筋力が必要だ」ということです。

では早速トレーニング内容の紹介といきましょう!

1.大腿部(一部尻も)

下半身で一番大きな筋肉ですね。
つまりたくさん使うということになります。
たくさん使う=「要」強い筋力が必要になるのです!

? スクワット

単純に上下に屈伸運動をします。

注意点としては、背筋を真っ直ぐ立っていること。
ヒザがつま先より前に出ないこと。以上の2点です。

10回から15回を2セットで。

? サイドランジ

真っ直ぐ立った状態から左右(真横)に足を広げ、出した脚を曲げましょう。
立ち上がり、またセンターに戻り、今度は反対方向に足を出し曲げます。
これを繰り返します。

左右に5回~10回を2セットで。

?片足スクワット

片足立ちから上下に屈伸します。
応用として立ち上がりで左右に上半身をひねるとスノーボードのスピン運動と同じ運動になりますね。

5回~10回を2セットで。

2.腿裏(ハムストリングス、&尻も)

表(腿)の筋肉だけでは運動は成り立ちません。
裏が表の反対の運動をすることでやっと運動が成り立つわけです。
ボクシングや空手などでも「突く」速さを上げる時に「引く」ことを強く意識させることがあります。
イチローなどはこの腿裏(ハムストリングス)が非常に発達しているそうですよ。
「押す」だけでなく「引く」運動がいかに早く効率的か、そこがイチローの「スピード」の秘密なわけですね。

仰向けになり少し高さのある段にカカトを乗せます。
ヒザを写真のように曲げます。
お尻を地面に着けないように上下させましょう。
尻は「これでもか~!」というくらい上に突き上げましょう!
10回~15回を2セットで。

3.ふくらはぎ

ふくらはぎの筋肉はトーサイド・ライディングの重要になる。

スノーボードではトーエッジ&ヒールエッジの切り替えが繰り返されます。
ふくらはぎはいつ使われるか?
そうです。トーエッジに乗る時ですね。

トリックで、トーサイドが使われるのは?

バックサイド・スピン
トー抜けフロントサイドスピン
ボックス&レールでのフロントサイド・イン

などで、使われます。

トレーニングの方法は、段差がある階段などで、行いましょう。

つま先のみを段に乗せてカカトを上下させます。
カカトを着ける場所がないのでバランストレーニングにもなりますよ。

もう1つ応用として、以下のものもご紹介しましょう。
カカトを上げた時に上半身にねじりを入れると、スピンの動作と同じ運動になりますね。

4.スネ

スネはヒールサイドで必要になります。

ここは鍛えようとはあまり考えないですよね。
「ふくらはぎ」でも述べましたがスノーボードではどうしてもここを使わないといけません。
もうお察しの通りヒールエッジに乗っている時全てですよね。

トリックでヒールサイドが使われるのは?

ヒール抜けのフロントサイドスピン
パイプでのバックサイドエアー
ボックス&レールのヒールサイドイン、

などとなります。

スノーボードのビンディングにはハイバックが付いていますよね。
それだけヒール側に安定して乗り続けることは筋力的に厳しいということなのです。

トレーニング方法です。

「ふくらはぎ」と同じように段にカカトのみを乗せます。
つま先を上下させますが、非常にバランスが難しいです。
どうしても出来ない方はつま先の上下をしない代わりに、ヒザを曲げてつま先をずっと上げ続けてみましょう。
上下させる場合は10回を2セット。
上下させない場合は30秒~1分姿勢をキープ、それを2セットで。

また、上半身のねじりを入れるとスピンと同じような動作で、以下のようなトレーニングもやるといいですよ。

 

上半身トレーニング

下半身トレーニングでも述べましたが、上半身のスノーボードでの役割はほとんどの場合「運動のコントロール」です。

この上半身の運動には、

1.回す
2.引き上げる
3.押さえつける

などが含まれます。

例: スピンやターンの先行動作、様々な状況(不整地、空中など)でのバランスの調整

ですから下半身のような大きな筋肉は必要ないということになると思います。
しかしながらある程度の筋力を付けておいて「転倒」に備えることも大変重要となります。
筋肉の厚みが単純にクッションになりますし、瞬時の筋肉の緊張が予想外の関接の「ねじれ」を防ぎます。

男性でしたら「見せ筋」を付けることでも大きなステイタスを感じれるはずですし(?)、余裕があるならぜひ非しっかり筋力を付けてほしいものですね。何より身体全体にバランス良く筋力をつけることが大切なのでうs。

これを継続できればほとんどの場合怪我を防ぐことができるでしょう。

1.胸

エアー時に胸の筋力が必要になる。

後ろ腕が回転動作を助ける際に胸の筋肉を使いますね。

例 : スピンを先行する腕がグラブ等でブロックされている時は、後ろの手をスピン方向へ強く押していきます。(板と上半身が強く逆回転します)

この時胸の筋肉が使われています。

またジャンプ中に腕を下に引き下げる時にも使われます。

例 : 空中で姿勢を安定させる時など

しかしながらよくよく考えてみても、なかなか胸の筋肉が必要な機会は思いつきません。
では必要ないのか?

先ほど下半身トレーニングでも説明しましたが、表と裏の筋肉はイコールでないと運動にアンバランスが生じます。
ですから最低限影響を受ける背中の筋力に等しいことが重要です。

胸の筋力を鍛える代表的なトレーニングは腕立て伏せです。

腕の置く位置をより狭めることによって、胸の内側を鍛えることができるし、また逆に外側に置くことで、胸の外側の筋力を鍛えることができます。
ですから腕の位置を変えるようにして、バランスよく胸全体の筋力を鍛えるようにしましょう。

とてもじゃないけど、上記のような腕立てはできないという方は、下の写真のようにヒザを付いて行うと良いでしょう。

10~15回を2セットで。

 

2.背中(肩の後ろ周辺)

 

回転運動を先行する前腕は明らかに背中の筋肉で強く引っ張られていきます。

ターン、スピン、ジブなど、どんな場面でも回転運動は大なり小なり入ってきます。
筋力が強ければ強いほど有利でしょうね。

腕立て伏せの逆をやります。
5回~10回を2セットで。


上記のようなところが見つからないのであれば、以下の写真のようにうつ伏せからエビ反りをしてみましょう。

意識するのは背中の肩甲骨(羽のような骨です)を「いかに真ん中に寄せることができるか」です。
この写真では腕が「ウルトラマン」のように前に伸びていますが、背中の筋肉に効果がほしいので、実際は腕を横に出して上下させます。

10回~15回を2セットで。

3.肩

キャプション

腕を上に引っ張る時に必要となりますね。
ジャンプする時が代表的な動きとなります。

また転倒の際に肩から落ちることは多々あります。
その時に強い筋肉で支えてなければ捻れたり外れたりするわけです。
非常によくあるケガの症例ですね。
ですから、肩も充分に鍛えておくことが必要になるわけです。

? 逆立ち (余裕があればそのまま腕立て伏せ)

30秒~1分を2セット。


? ペットボトルや辞書などを持って左右に両腕を上げ下げする

ゆっくり10回~20回を2セット。

スノーボードに近い動作でやるとより効果的でしょう。

4.わき(広背筋)

広背筋はランディング時に必要となる。

胸の筋肉と同じく、腕を下に引き下げる時に必要となります。

ジャンプのランディングでも同じように上半身を押さえつけて安定させますね。

また空中で上半身を下へ押さえ込み姿勢を安定させる時、またフリーランで上体が浮かないように腕を下へ押さえつけることもあります。

みなさんご存知の「懸垂」です。
できる方は5~10回を2セットで。

できない方は足が着いた状態でやってみましょう。
腕で上がらない分、足で少しヘルプしてあげましょう。

どうしても「懸垂」が出来ない方は脇を締めた腕立て伏せでも効果があります。
この場合は5~15回を2セット行いましょう。

5.首

空中での体軸のコントロールは首の持っていき方で決まります。
どれだけ体が空中でひっくり返っても首でコントロールできる強さを持っていればある程度は痛い目を見ないで済むものです。
しかしながらやはり転倒が免れない状況もありますね。
そんな時にも備えるという意味もあるでしょう。

下半身、上半身、どちらから転倒しようとも頭は大きく揺さぶられますよね。
首をしっかり固めておけば考えたくもない危険なことは起こらないでしょう。
もちろんヘルメットはかぶりましょう。
首を鍛えただけでは頭は守りきれませんからね。

首の鍛え方。
壁に対して少し距離を置いて立ち、オデコを壁にあてます。タオルをあてないと痛いですよ。
そのまま30秒~1分、耐えます!2セットですよ~。

 

以前、「体幹トレーニング」でも紹介しました「アウフバウ」で頭を上げて目線でつま先で追うだけでもかなりの効果が期待できます。

今週のトレーニング・メニュー提案

さて、2週間「癖つけ」メニューをやっていただきました。
今週からは少し本格的に各部位の筋肉を刺激していきましょう。

注意 1: 体幹メニューは4種目ありますが、1週間で4種目が2回転するように行ってください。
<例> 月 体幹部位??  火 体幹部位??  金 体幹部位??  土 体幹部位??

注意 2: 上半身、下半身メニューは、上記で説明している各部位(胸、背中、モモなど)を必ず1週間でやってない部位がないように行うようにしてください。
<例> 月 上半身の部位??  木 上半身の部位??  土 上半身の部位?

<月>
ジョギング 20分
体幹メニュー (4種目中の)2種目 各1セット
上半身メニュー (5種目中の)2種目 各1セット
ストレッチ 20分間
<火>
ジョギング 20分
体幹メニュー (4種目中の)2種目 各1セット
下半身メニュー (4種目中の)2種目 各1セット
ストレッチ 20分
<水>
OFF!
<木>
ジョギング 20分
上半身メニュー (5種目中の)3種目 各1セット
ストレッチ 20分間
<金>
ジョギング 20分
体幹メニュー (4種目中の)2種目 各1セット
下半身メニュー (4種目中の)2種目 各1セット
ストレッチ 20分
<土>
ジョギング 20分
体幹メニュー (4種目中の)2種目 各1セット
上半身メニュー (5種目中の)1種目 各1セット
ストレッチ 20分間
<日>
OFF!!
または体を動かすアクティビティーで楽しみましょう!

 

上記のメニューに慣れた、またはもっと時間がある、もっとやりたい!という方は以下のメニューに移行してください。
これでもまだまだ軽い内容ですからね~。

<月>
ジョギング 30分
体幹メニュー 4部位すべて 各1セット
上半身メニュー (5部位中の)2部位 各2セット
ストレッチ 20分間
<火>
ジョギング 30分
体幹メニュー 4部位すべて 各1セット
下半身メニュー (4種目中の)2種目 各2セット
ストレッチ 20分
<水>
OFF!
<木>
ジョギング 30分
上半身メニュー (5種目中の)3種目 各2セット
ストレッチ 20分間
<金>
ジョギング 30分
体幹メニュー 4部位すべて 各1セット
下半身メニュー (4種目中の)2種目 各2セット
ストレッチ 20分
<土>
ジョギング 30分
体幹メニュー 4部位すべて 各1セット
上半身メニュー (5種目中の)1種目 2セット
ストレッチ 20分間
<日>
OFF!!
または体を動かすアクティビティーで楽しみましょう!

今回はこれでおしまいです。
次回の効果抜群!オフトレ(下)では、さらに実践的なスノーボードの動きとなる、瞬発力&コーディネーション・トレーニングを中心にご紹介していきます。どうぞ、お楽しみに!

効果抜群!オフトレ(上) http://www.dmksnowboard.com/special/2985

講師:高石 周
1970年4月11日生まれ 39歳
新潟県出身

現在カナダ・ウィスラーにてCSBA(カナディアンスポーツビジネスアカデミー)にて、スノーボードコーチとして活動。
また最近は、Peak Performance Projectの監督として世界に羽ばたける日本人ライダーを育成している。

Sponsors: Volkl, Flux, Cross 5

ブログ:http://sportscoaching.blog72.fc2.com/

 

 

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