それ、本当にできている?

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ここのところ3日間連続でウィスラーのクラブ活動を行っていた。クラブ活動中はビデオ・カメラを持っているし撮影もしているので、なかなか自分の滑りというのはできないことも多いが、チャンスを見てはいろいろやっている。

一昨日のクラブ活動では、久しぶりに基本に返ろうというテーマでカービング・ターンの他に、それよりももっと基本的な横滑りやJターンも行うことになった。

「横滑りって超カンタンでしょ?」
と思うかもしれないが、この企画の発案者でもあるハジメ(注:dmkクラブ出身の若手ライダー)が、これほど難しいものはない。うまくできない。という言うので、改めてやってみよう、ということになった。

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横滑りの目的は大きく分けると2つあると思う。
1つはボードの真ん中にきちんと乗っているか。
もう1つは、エッジングを完全にコントロールしてその調整に合った軸の移動ができているか。

ボードの真ん中に乗るためには左右の軸を考えなくてはいけない。だいたいこの左右の方は、できる人が多い。(注:フロントサイドで上半身と下半身を捻った姿勢での横滑りは、多くの人が軸を保てないので、そこの練習も必要。今回のdmkクラブ活動でも多くの人がこのような練習をやったようである)
次に前後の軸があるのだが、こちらの方はエッジングによりバランスを崩すことがあるので侮れない。例えば、エッジを強くしたとたんに背中側に体重が寄り、尻餅をついていたら失格だ。

エッジングの調整というのも侮れないテーマで、自分がどれだけのエッジングの感覚をやっているかきちんと理解するためには、その感覚を研ぎ澄ましていないとできないものと、改めて痛感した。エッジをフラットにするという感覚まではやったことがあるが、その他のエッジング角度をより詳細に考え、その感覚を鍛えたことは今までほとんどなかったのだ。

ハジメはいつも毎朝、こんなコソ練をよくやっている奴だ。横滑り、Jターンなど必ずやって自分のポジションニングを確認している。
また、キッカーにしても本当に完璧にやらないと嫌なようで、例えばちょっとでもピョコったら(注:両手などが暴れること)、もう1度同じようにただオーリーで飛ぶベーシック・エアーをやっている。その後、きちんと満足に乗れるようになったら、スピン系などいろいろトライしているのである。

ここのところそんなハジメといっしょに撮影やら滑ることが多くて、自分もかなり影響された。それで1つ重大な(?)事実がわかったのは、今までオーリーとかできていたと思っていたし、カービングとかできていたと思ったのだけど、それはまだまだ錯覚できちんとできていなかった、ということ。

そう言えば、今回のクラブ活動レポートでカジちゃんが「9年間もスノーボードをやっていてうまくできなくて悲しい」というようなコメントがあったのだが、こちらはもう 20年だから、もう悲しみを越えて笑うしかない、というような心境である。

それで、昨日はクラブ活動の合間の移動を使って、カービング・ターンの練習をしていたのだ。そのことを昨日活動に参加した人にリフトで話していたら「フサキさん、十分にカービングしているのに」というようなことを言ってもらった。だけど、自分の中ではまだ完全に乗れていない。余裕が少ないので満足できないのである。

確かにただゲレンデを1本の鉛筆で書いた線のように、滑ることは可能だ。だけど、まだきちんと乗れていないから、急斜面や荒れたバーンでは完全カービングというのは難しくなってしまう。これほど基本的なターンだから、もっと余裕を持ってやりたいのだ。言葉を代えれば、完全に上半身を殺しても下半身だけでしっかりと乗れていること。それができていなければ、自分の中でカービング・ターンができたとは言えないのである。シンプルなテクニックだけに余裕の量を増やさなければ、そこにスタイルが生まれないのだ。これはハジメもよく言っていることだけど、「誰でもできるトリックだから、そこに余裕がないとスタイルがない」と。例えば、そのへんのパークのアイテムで行うフロントサイド・ボードスライドなどは、両手を大きく使って行うスタイルは許せん!という感じである。

ちょうど先週に「ネバー満足」というコラムを書いたが、それとちょっと内容は付随しているだろう。だから、一般のスノーボーダーが自分のような気持ちでやることはないし、もちろんゲレンデに1本の線を書いたら「イエーイ!」でもいいと思う。だけど、それができる人は、まだまだ次のステップがあるので、ぜひ新しいレベルに探求してほしいと思う。そうしたチャレンジで知ることができるスノーボードの新しい感覚が、さらに僕たちにスノーボードの奥深さ、さらなる楽しさを提供してくれるのは間違いないと思うからだ。
今まで自分が散々やって来てできていると思っていることでも、一度本当にできているか考えたら、そこに新しい上達のヒントが隠されているかもしれない。

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