高石周の教えてコーチ!「カナダ式にターンを考えると?」

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世界の舞台でコーチとして活躍する高石周さんが、スノーボードの上達に関する悩みから、環境の提案など、様々な角度からスノーボーダーの相談に乗ります。
今回は、初のターンに関する質問への回答です。マニアックかもしれないけど、じっくり読むとおもしろいのでぜひ参考にしてください。

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質問者:KZH

先日以下のサイトでカービングターンについて書かれていたのを見つけました。

(http://www.transworldweb.jp/snow/snownews/news-snowgirl/how-to-snowboard-the-strongest-carving-turn-carving-turn/)

私はカナダのインストラクター資格を持っています。この滑りをカナダのメソッドでも考えながら、総合的に自分のライディングを向上させたいです。

まず、この写真のposition and balance(姿勢)はどうですか?

特に、
● トゥサイドのアンギュレーション(トゥ、ヒール側バランス)
● トゥサイドに入る際のローテーショナルバランス(捻りバランス)
● フォーアンドアフトバランス(ノーズ、テール側バランス)

CASI的な考えを抜いたら滑りの形はこの写真のようなpositionが正しいのでしょうか?自分が滑る時、イメージするならどんなpositionをイメージして滑るのが良いですか?

 

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ターンでの質問は初めてですね!
カナダのメソッドで考えるのは日本の方には新鮮だと思うので非常にナイスな質問です!
早速ターン全体の姿勢から考えていきましょう。

姿勢、立ち方(Position & Balance)は滑っている間ずっと影響するベースとなるスキルですね。
カナダの5スキルでも最初に考慮すべきスキルとされています。
この姿勢、立ち方スキルには以下のように4つのチェック項目があります。

●トゥ、ヒール側のバランス
●ノーズ、テール側のバランス
●上下(高さ)バランス
●捻り(回転)バランス

以上がその場面、状況、ターンの種類(目的)によって適度に調整されることが理想です。

まずKZHさんが気にされる「トゥサイドのアンギュレーション」について。
アンギュレーションとは、体を内側に棒状に倒し(インクリネーション)ながらも、上半身を重力に対してまっすぐ起こす(立てる)状態のことです。

ターン外側に上半身を起こして「くの字」を作った状態ですね。
棒状に倒す(インクリネーション)状態は外力(遠心力など)に対して真っ直ぐ立っているかもしれませんが、上半身は重力に対して斜めです。

この状態で雪面から衝撃を受けた場合、(相当バランス・スキルが高くないと)簡単にバランスを崩すことになりかねません。
しかし上半身を重力に対して真っ直ぐ立てているとバランスを調整する幅を広く持ったことになりますし、頭も立っているので三半規管も安定した状態ですね。

さて、そこで掲載されている写真を見てみます。
ヒールサイドターンでは明らかにアンギュレーションが見られます。しかしトゥサイドターンではどちらかというとインクリネーション(棒状に倒れる)に近い状態に見えますね。
足元の力点から腰、頭の位置を見れば分かります。

ではこの姿勢は好ましくないのか?
不安定ではないのか?
そう思ってしまいますよね。

まず写真のライダーは日本のトップ女性ライダーですから、当然素晴らしいバランス能力を持っていることは無視できません。トゥサイドでインクリネーション状態でバランスをキープしているのもその高い能力がなせる業でもあります。
しかしこの写真から一見アンギュレーションではないバランスを整える何かをしています。それが以下の2つ。

●ターン内側にある後ろの肩(腕)が上に上がっている
●姿勢が低い

後ろの肩(腕)を上げることで、肩のラインをできるだけ斜面に対して平行に保つ姿勢となります。上半身全てを起こす(真っ直ぐ立てる)アンギュレーションに対して、この肩のラインを平行に保つ動きは胸(みぞおち)から上を起こすことになります。見難いですが、わずかにアンギュレーションが入っている状態であり、バランスを保った状態なのです。
さらに姿勢を低く保つことで頭と板との距離が縮まりバランスキープが楽ですよね。

次にトゥサイドターンに入る際の捻りについて。
ここはバランススキルと同時にターンに入るスキルも語ることになります。(混同したらすいません)
カナダのメソッドでは曲がる方向に腰、ひざ、足(または全身)を捻ってターンに入るよう推奨されています。
これはノーズ側から雪面にエッジを噛ませたほうがスムーズにターンに入れるからです。このノーズを雪面に噛ませる場合、以下のように体が動くことが好ましいです。

①前足のつま先(トーエッジ)を踏める
②そのために前足のひざがつま先の上に乗る
③ひざを乗せるために前の腰をつま先の上に乗せる
④前の腰をつま先上に乗せるために前の肩が前腰の上にある

前肩が前腰の上になくとも前の腰はトゥエッジ上に乗せることは可能です。ただし前の肩はその下半身の連動を邪魔するほど進行方向に開いてはいけません。前の肩が腰、ひざ、足の捻りを逆に引っ張るからですね。

以上を考慮して捻りのバランスを考えると、前のひざ、腰、肩のラインはできるだけ踏んでいるエッジ上に乗せるように移動していくのが好ましい捻りであり、ターン上でバランスが良い状態であると言えます。
では掲載されている写真を見てみましょう。

トゥサイドターンの入りでは、明らかに後ろのひざ&腰がエッジ上に強く乗っていて、前のヒザと腰はエッジ上に入っていません。
この状態は後ろのつま先がエッジを踏んでいて、前のつま先はほとんど踏めないはずです。
今回は姿勢やバランスの話となっていますので、その側面から話します。
もしこのターンの入りで前のひざ&腰がエッジ上に乗っていたら?
上半身(肩)は板とラインが揃うように真横を向いているでしょう。その時前足のつま先はエッジをしっかり踏んでいるでしょうし、即座に後ろのひざ&腰もトゥエッジ上に乗れば、つまり両足のつま先で立てるのでバランスがとり易いはずです。しかしこの写真ではターン中盤まで前のヒザと腰はゆっくりトーエッジ側に乗っていきます。つまりターン中盤まで後ろ足のつま先を中心にバランスを保っているわけです。前足のつま先はバランスキープに使えないので、一点でバランスを保っているような状態ですね。これは当然バランスキープが難しい。
中級者には真似できないでしょう。エッジ上でバランスを保てるスキルが高いほどこの捻りのバランスでターンに入っていけるわけですね。

次はノーズ&テール側のバランスについて考えてみましょう。
中級者まではバランスを保つスキルが安定しないので、まずはセンターに乗ることを推奨しますね。このようにセンターに乗っていてもカービングは当然可能です。
掲載されている写真では基本的に後ろ足荷重です。しかし当然ターン中のバランスは保たれていますね。
もし中級者の方に「後ろ足荷重で滑ってください」と言ったらどうなるでしょう?
典型的には上半身がテール側に倒れた不安定な姿勢になります。これは中級者が重心(腰)をセンターから移動できないからです。その状態で後ろに荷重するには上半身を後ろに倒すしかありません。

ではこの写真ではどのような姿勢になっているのでしょう?
実はこんな状態なんです。

●腰(重心)は後ろ足の上
●頭はセンター

以前私は後ろ足荷重についてブログに書きましたが、その時立ち方のイメージとして「直角三角形」を例として挙げました。
後ろ足が底辺の直角の部分。
そこから真っ直ぐ立ち上がっている直線上に腰と頭があるというイメージです。しかし実際にこのイメージで滑ると、実はまだ後ろ側(テール側)にあおられる感覚がありました。でも後ろ足に乗ることで多くの「良いこと」があるので、腰はそのまま後ろ足の上に乗せていたい。そこで上半身が遅れないように頭をセンターに持っていく、もしくは胸を軽く前のひざにかぶせるのです。
後ろに重心があるのでノーズは軽く、正面から迫りくる障害物はうまく吸収されます。ノーズが持ち上がっても上半身は前にかぶさっているのであおられずにバランスはキープされます。

今回は姿勢やバランスというベースとなるスキルを中心に考えてきました。
同じ今回の質問内容は、実はカナダの別の5スキルというメソッドでによって違う側面からも分析が可能です。話をシンプルにするために、今回は「Position & Balance」(姿勢、立ち方)に特化して話を進めました。理想の姿勢はその場面、状況、目的に合わせた立ち方であれば良いので、これといったものを提示することはできません。ただし臨機応変なバランス調整ができるように、常に不安定な状況の中を滑り続けることをお勧めします!

写真の滑りを真似して感覚を理解するのも重要でしょうね。がんばってください!

下記URLから投稿を確認できます。
http://6218.teacup.com/snbw/bbs

 

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