【コラム】カナダのナショナルチーム関係者と話した日本とカナダのナショナルチーム事情

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文:飯田房貴 fusaki@dmksnowboard.com

朝、ウィスラーの山の上で、偶然にカナダのナショナルチーム関係者にあった。
厳密に言えば、彼は現在ナショナルチームと仕事をしているのではなく、元ナショナルチーム選手で、また現在はウィスラーでコーチングとして活躍している方。若い選手の育成にも携わっている。


(ブランクを感じさせない強さで勝ったショーンだけど、果たしてパイプ選手の進化はいかに!?)

「ショーン・ホワイト、優勝したね!」

「本当、凄いね。」

「だけど、ルーティーン的にはどうだろう?確か今までと同じような感じで最後の方はちょっと変えたようだけど。」

「そう、メソッドから入って、フロントサイド・ダブルコーク1080、キャブ・ダブルコーク1080、フロントサイド540、ダブル・マックツイスト・ジャパンエアー。」

「このジャパンのダブルマックってやっていたっけ?」

「やっていたよ。で、最後のフロントサイド900がさらに進化させたところだと思う。」

「でも、ショーンとっては、セーフティな印象のルーティーンだね。」

「確かに。面白味でがないよね。でも、こうしてコンスタントに実力を出せるところがショーンの強さ。他のアメリカの若い選手には、まだその実力が伴っていない。
そして、現在のハーフパイプのシーンでは、あまり進化は起こっていない。」

「スロープなんて、毎年のように進化があって驚きがあるけど。
でも、女子は毎度のケリー・クラークでなくなって、新しい力が台頭して来ている。」

「いやいや、アメリカの女子に限ってのこと。世界的に、まだ進化は弱いよ。」

「まあ、ハーフパイプは、今ではどこにでもあるってものでなく、やりたければコロラドとかに行かないといけないから。発展土壌が弱いのが問題。」

「そう、まるでボブスレーのようだよ。特別な場所でしか練習できなくなっている。」


(世界的に選手の力を伸ばすハーフパイプが少なくなっているのが、パイプ進化を弱ます原因。)

 

「ところで、僕が心配なのは、日本のナショナルチームだよ。現在、ワールドカップに出場している選手が少なくて、この時期の国際大会での経験値の少なさは、オリンピックに影響しかねない。」

「歩夢も卓も、良い結果を残せなかったね。」

「そう、いきなりポンって出て結果を出すというのも難しいところがあると思うんだ。やはり彼らにはもっと経験を積ませたい。
先日、友基(角野)がエアー・スタイルに出たのだけど、予選では1位通過になり、ポテンシャルの高さは発揮したけど、残念ながら良い結果を出せなかった。」

「なんとなく、聞いているけど、日本のナショナルチームで何が起こっているの?」

「正直、自分もわからないけど・・・。
ある選手がコロラドで大麻を吸ったとか、未成年の選手がお酒を飲んでしまった。そのことは知っているか、と思う。
で、ナショナルチームは、こうした事態を二度と避けるために、必要以上にストイックに管理し過ぎているのかもしれない。結果的にワールドカップ選手派遣にも影響を及ぼしている。
あと、もう1つの問題は、ナショナルチームは、封建制が強いと思う。上の言うことに従っていないとナショナルチームで活動させないよと。」

「カナダでも、まったく同じようなことはあったよ。僕が選手の時は、それが強かったね。でも、今はもっと様々な活動が認められている。当然、選手はX-Gamesに出るし、FIS以外の国際大会にも出ている。」

「当然だよね。選手は世界のトップの大会で切磋琢磨して鍛えられる。経験を積み、良い成果を出せるようになる。スノーボードに限らず、どんなスポーツでも同じことが言えるでしょ。」


(問題を起こせば、大きな問題になってしまうのはナショナルチームの選手なのだから当然。選手はそのことを肝に銘じる必要あり。しかし、過敏に反応して選手のチャンスをつまむのはどうか。選手育成を基本に日本にスノーボード・メダルのチャンスを与えてほしい。)

「一昔前に、カズ(國母)が、服装が乱れていたからという問題もあったけど、あれも奇異に感じたよ。」

「まあ、それはジャパンだから(笑)。でも、カズの態度もちょっと良くなかったと思うよ。残念ながらあの記者会見で多くの一般的な日本人は悪い印象を持ったと思う。本当のカズのパーソナリティの良さは、伝わっていない。

あと、封建制が強いことの弊害で、代表的な例が体力測定。ある選手は世界でも活躍できる実力があるのに、この体力測定にパスできないのはないか?とナーバスになっていたよ。垂直飛びのような類のことで、目標値に達しないとナショナルチームに入れないなんて、信じられないよ。本来なら、世界で活躍できるようにサポートするべきなのに、可愛そうだよね。」

「カナダでも似たようなことはあったよ。ある選手は、トレーナーの言われるまま、体力アップに邁進したけど、雪上で肝心のトリックができなかった(笑)。
でも最近一つ興味深い事例があって、それはマーク(マクモリス)の復活劇。彼は大きな怪我をして、その後、トレーナーがジムで行うトレーニングをサポートした。そして、見事復活し再び世界の頂点に立ったんだ。それを見ていた若い選手は、雪上以外の体力トレーニングの大切さを知って、今ではみんな真剣にやるようになっている。」

「それは素晴らしいこと!そう、オフトレは大事だし、今ではスノーボーダーに必要な様々なトレーニングメニューも知られて来ている。ぜひ、みんなやるべき!だけど、オフトレはあくまでも選手の雪上パフォーマンスのサポート。その体力測定に基準値を設けて、それでナショナルチームに入れる、入れないなんてナンセンス!」

「まったくその通りだね。あっ、ゴメン。オレ、そろそろコーチングに行かないと。」

「おっ、時間を割いてくれて、ありがとう!良い話が聞けて、嬉しかったよ。」

「フサキ、またね!」

 

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