【コラム】トレーニングのすすめ

広告 five  

文:齋藤 稔

PART 1

カタログ号も出そろい、ショップにはニューモデルが出始め、そろそろスノーボードが気になってきている人も多いんじゃないでしょうか?僕は一年中気になってしかたがないんですけど・・・。

広告

ところでみなさんいきなりシーズンを迎えて大丈夫ですか?新しい道具を買ったり、ボードをチューンナップしたりだけではなく、自分の体もシーズンに備えておきましょう。「だいたいスノーボードなんて楽しけりゃいいんだよ」と言う人はそれで構いません。自分のスタイルというものや考え方がありますから個人の自由です。ただ、「シーズン入ったらすぐにでもバンバン滑りたい」・「昨シーズンよりも上達したい」・「怪我をしないで楽しみたい」と言う方は、読んでみてください。

トレーニングの必要性
そもそもトレーニングは必要なのか?答は簡単「上手くなりたいなら、怪我をしたくないならトレーニングは絶対にしたほうがいい」となります。夏の間なにもしないで夏バテとの戦いに明け暮れた人は、確実に昨シーズンの終わりよりも体力が落ちています。スノーボードもスポーツですから、体力は必要なわけで、体力を維持、向上させるためにはトレーニングが必要になります。夏の間室内ゲレンデや、海外に行って、何度か滑っている人、サーフィン・スケートボードをやっている人、なにかしらスポーツをやっている人、スポーツクラブやトレーニングジムに通っている人は、そのまま続けていればなんの問題もありません。スノーボードのトレーニングだから、なにか特殊な方法があるのと言うわけではありません。フリースタイラーの方やプロの人はトランポリンなんかを使ってトリックの練習をする場合があるようですが、一般レベルではそれほど必要ないでしょう。基本的に健康な体なら大丈夫なのです。ただ、体力があることによるメリットは多々あります。HPやワンメイクのハイクアップで疲れにくいため、他の人より多く練習できる。長い距離を滑っても足腰が疲れにくいから人より多く滑れる等です。さらに筋力が充分にできてくれば、今までよりもシャープなターンができるようになったり、トリックのレベルがあがったりします。この時期トレーニングをしておくことによって、体力の維持ができ、シーズンが始まってすぐにスノーボードが楽しめるようになります。もしトレーニングをしていない場合何日かは、感覚を取り戻すこと、体力を取り戻すことに使われてしまいます。この時期に無理をすれば怪我を招き、シーズンを棒に振ることにもなりかねません。そんな事態を回避するためにも、トレーニングを始めましょう。

どうやってやればいいの?
まず、普段それほど時間をかけなくてもできることにストレッチングがあります。ストレッチングを普段から続ける事によって、体が柔らかくなり、転倒した場合でも衝撃を効率的に分散・吸収できるようになり、怪我をしにくい体になります。また体が柔らかくなれば、間接の可動範囲も広くなり、トリックを行う場合、よりスムーズにできるようになります。ストレッチングは学校の体育の時間にやったような簡単な柔軟体操でも効果が現れるので、毎日続ける事をおすすめします。他にも時間をかけることなくできるのは腕立て伏せ・腹筋・スクワットなどです。各100回ほどやっても10~15分ほどでできますから、自分の体力に合わせて無理なく続けていくことができると思います。その他にはジョギングなどもあげられます。ジョギングはある程度の距離を走ることになるので、時間が必要になりますが30分程走れば、汗もかきますし、とりあえずは効果があるでしょう。必要なことは継続してやること。一日だけがんばってやるよりは毎日少しでもいいですから続けることが大事ですし、その方が肉体的にも精神的にも効果があるのです。

毎日いろいろと忙しいかも知れませんが、一日のほんのわずかな時間でもトレーニングに使うことでシーズンに入ったときはライバルに差が付けられるのは間違いないです。上達しようという気持ちもトレーニングを続けることで維持できます。今からでも遅くはないですから、シーズンが始まる前にトレーニングを始めてみてはいかかですか?

PART 2

オフ・トレーニングについて
スノーボードで必要な筋力は主に下半身の筋力ですが、実際には体全体のバランスが重要になります。陸上の短距離選手を見ればわかると思うのですが、下半身が発達しているのと比例して、上半身の筋力もかなり発達しています。これは体全体のバランスを取るためです。下半身だけ筋力が発達すると体のバランスが崩れ、結果的にスポーツにおいては筋力UPの効果はでません。下半身だけ強化すると上半身に対して下半身の筋力が過大になり、そのため、体全体が下半身に振り回されることになるからです。走ることで言えば、腹筋背筋で上半身を支え、体のブレをおさえる。腕を振ることによって上半身の力を下半身に伝え、効率よく走ることができるようになるのです。また、腕を振ることによってでてくる腕からの動きを吸収し、上手く使うためには肩周り・背中・胸の筋肉が必要になります。こうやって考えていくと、やはり筋力はバランス良くアップさせることが必要で、どこか一カ所ばかりの筋力をアップさせてもそれほど効果はあがらないということがわかると思います。体操選手なども良い例で、体全体のバランスがとれ手いる選手は、様々な技をやっても綺麗に演技する事ができています。一般レベルのスノーボーダーならば、普段から何かしらの運動をすることによって、体力を維持することができますから、特別なトレーニングをするよりは普段から体を動かすことが重要になってきます。しかし、競技者ならば一般レベルよりも高次元での筋力が必要になってきます。そのためには体のことを考えたトレーニングが必要です。プロのスノーボーダーのインタビューなんかでは「それほどトレーニングなんかしない」と言う人が多いですが、プロの人達は一年を通してスノーボードをやっていますから自然と必要な筋力が付くのです。アメリカンライダーならばマシントレーニングはそれほどしないとはいっても、日本人の考えるトレーニングの量以上は確実にやっていることと思います。ショーンパーマーが以前雑誌のインタビューでトレーニングについて話をしていましたが、毎日かなりの量のトレーニングをこなしていました。ジムリッピーも現在自宅のガレージにトレーニング施設を作っているとのこと、やはり、高いレベルでライディングをする場合にはそれなりのトレーニングが必要なのです。
具体的には?
では、具体的にはどのようなトレーニングが必要なのでしょうか?まず誰でも考えつくのが足腰の強化のために走ることだと思います。走ることによって下半身の強化と心肺機能の強化が望めます。心肺機能が向上すると持久力が付きます。これは体の中で効率よく、酸素と二酸化炭素を交換できるようになるためで、常に体に酸素が行き渡る状態になれば疲れにくいのです。「ハイクアップがつらい」と言う人は、ジョギングなどで体力をつけるといいでしょう。では各部分について少し詳しく書いていきます。下半身からいきます。まずはすねとふくらはぎです。滑走速度が速くなると、足首を自分の思ったようにコントロールしないと暴走してしまいます。つまり自分の思った角度に固定できないと、滑っていて疲れるし安定しません。そのためすねとふくらはぎの力が重要になります。ここを鍛えるには、つま先立ちになって何度も伸び上がる運動が有効です。「カーフレイズ」といいます。次にふとももです。下半身では一番大きな筋肉でこのふとももの筋肉が弱いと力強い滑りはできません。「スクワット」が効果的です。下半身全体のバネを鍛えるには、「ジャンピングスクワット」が有効でしょう。一度しゃがみ込んでその後思いっきりジャンプ、着地の時にはまたしゃがみ込んでジャンプのエネルギーを吸収します。これの繰り返しです。下半身のバネがあるとオーリーをやっても踏切が強くなるので高く飛べますし、高いところからの着地でもきちんとエネルギーを吸収できるようになります。「ジャンピングスクワット」の時に腕を思い切り振りながら前にジャンプすれば全身運動としても効果的で、体全体が鍛えられます。腹筋背筋は、下半身と上半身のジョイント部分ですからここはしっかりと鍛えておかないとダメです。特にトリックを行う場合は上半身で回転をリードしたり、バランスを崩したときのリカバリーは全身で行うので、ここはしっかりと鍛えておくべきです。普通に腹筋背筋運動を行えば問題ないです。最後に上半身。腕の振りでトリックのきっかけを作ったり、転んだときに受け身を取ったり、高速で滑っているときにバランスを取る、など意外に上半身は活躍しているのです。「腕立て伏せ」や「懸垂」などが効果的です。

何度もいうけどバランスが肝心
何度もいいますけど肝心なのはバランスのとれた体を作る事です。下半身だけ、あるいは上半身だけではスノーボードのパフォーマンスは向上しません。スポーツに適した体というのは一日二日でできるものではないので、無理せずトレーニングを続けていくことが必要になります。今回紹介したのはジムに行かなくてもできるトレーニングばかりです。強度もそれほどきつくはないでしょう。空いている時間を見つけて少しでもいいから続けて見てください。シーズンまでまだ2ヶ月ほどあります。シーズンが始まってすぐにトレーニングの効果が実感できるはずです。それでは頑張ってください。

広告