祝!ゴールデンウィーク・ウィスラー・ツアー

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何がめでたい!って日本のゴールデンウィーク。祝日が並びこれだけ長期間で休みが取れるのは、世界でもマレな現象と言えるだろう。我々日本人、及びスノーボーダー人であるdmkクラブは、この長期休暇を利用しない手はない!というワケで、今年のウィスラー・ツアー(ちなみに昨年に続き第2回目)は、ゴールデンウィークで行うことになった。そして20名ほどのスノーボード・バカ(失礼)が結集した。こんなスノーボード大好きなdmkクラブ員ご一行を祝うかのように、雪のち、晴れ→晴れ→晴れ!という最高のライディング天候となったウィスラー。
その模様をお馴染みdmkクラブの公式会報係もりっぺにレポートしてもらおう。

report: Machiko MORIHARA

Day 1 到着日

高度を下げた飛行機の小さな窓から整った街並みが見え隠れしている。初夏の陽射しを家々の屋根がまぶしく照り返していた。JAL018便はもうすぐバンクーバー空港に着陸する。日本ではゴールデンウィークの真っ只中、これから約6日間dmkのウィスラー・キャンプが始まる。

「エイゴ、ハナセマスカ?」入国審査の若い係官はパスポートにスタンプを押しながらにこやかな笑顔で、日本語で質問をしてきた。思わず「ううん。話せない」と完璧な日本語で答える。係官はそんな私にさらなる笑顔でパスポートを差し出しつつ「ガンバッテ!」と励ましてくれた。

荷物をピックアップして空港の出口に向うと、なんとなく気恥ずかしそうな笑顔を浮かべた2人のナイスガイがいた。スノーボードのソールに「WELOCOME dmk Club !!」と言う文字を貼り付けて出迎えてくれたのはウィスラーを拠点に活動しているローカル・ライダーのタクミくん、そしてこの4月からウィスラーに長期滞在しているdmkスタッフのケイくんだった。ケイくんはいつも日本のキャンプで素敵な写真を撮り続けてくれていたけれど、4月から一年間のワーキング・ホリデーでカナダに来ている。タクミくんは今年1月に開催された“dmk祭り”にコーチとして参加してくれている。彼らは日本から来るみんなのためにウィスラーから車を飛ばしてはるばる迎えに来てくれたのだ。そんなやさしい2人のお馴染みの顔を見た途端、長いフライトで少し疲れた顔をしていたみんなの間に安心した空気と笑顔が広がった。

空港の外へ出ると空気は明るくそしてひんやりと冷たかった。道の向こうに大きなバンが数台停まっている。その中に日本ではバカでかく見えるハマーが混じっていたが、それが周囲の景色の中で普通のサイズに見えるのがやはりカナダだなと思う。なにしろカナダという国は世界で2番目に国土が広いのだ。

目指すウィスラーまでは約120km。だいたい2時間のドライブになる。今回お世話になるツアー会社ジャパナダさんの大型コミュータとタクミくんのハイラックスに荷物を積み込み出発した。
タクミくんがキャンパーを歓迎しようとみんなとバスに乗り込んだので、私はアヤ部長の運転するハイラックスの助手席に乗り込む。街路に植えられた八重桜が少し盛りを過ぎた時期だ。濃い緑の陰にはピンクの花びらがまだたくさん見えている。ちょうど昼時。太陽は天辺から道路を照らし、開けた窓から入ってくる少し冷たい風とそれに混ざって小さく鳴っているカーラジオの音が最高に気持ちいい。郊外ではどの家も庭もきれいに手入れがなされていて、ガラスには曇りひとつない。できることなら一軒いっけん眺めていたいくらいだ。

街は市街地に近づくにつれ骨組みのしっかりした、近代的なのにどこか温かみのあるビル群とレンガ造りの古い建物、それにガラス張りの建物が不思議な調和を見せるようになる。この混ざり合いが持つ感覚は絶妙だ。市街地の緑の多さとビルの隙間に覗く間近な海と森。この自然の色と街をつなぐのがレンガのような古い建物であり、その間にあるガラス張りの建物が景色に透明感をプラスしている。その上にまるで植物が成長するかのような感覚でビルが伸び上がっているのだ。案外これがバンクーバーの街の特徴と言えるかもしれない。巨大なライオンズゲートブリッジを越えるとハイウェイ99号線に乗って、あとはひたすら左手に海、右手に巨大な岩山が横たわる道を走り続けてウィスラーに向うのだ。その99号線は4年後のオリンピックに向けて拡張工事が進められていた。

宿泊先は去年と同じウィスラー・ビレッジ・イン。ゲレンデからもビレッジの中心からも程よく離れていて、なかなかいいロケーションだ。バスから荷物を降ろしているところへウィスラー取締役(?)のフサキさんが登場。フサキさんとも1月のdmk祭り以来だ。相変わらずのちょっとおとぼけたようなリズムは変わっていない。荷物を部屋に押し込んで一息ついたら、さっそくビレッジ内の散策へ出掛けた。案内してくれるのはタクミくんとフサキさん。今回のキャンプ参加人数は20名。このウィスラー・キャンプがdmkクラブ初参加という人も数人いる。ぞろぞろと団体でビレッジ内を移動する東洋人は周囲には、おそらく怪しく映っているはずだ。おいしいアイスクリーム屋さんやサーファーやボーダーに人気のショップWest BeachやCircleをひやかしたあとBREW Barに向った。今日はここでウェルカムパーティーを行なう。予約時間よりちょっと早い到着だったが、店は快く迎えてくれた。
広い店内の梁の上には模型の貨物列車がゆっくり移動していて、それを眺めるだけでものんびりくつろげる雰囲気だ。ビールは普通のラガーとハニーローストラガーの2種類。ハニーローストは茶色のビールで少し甘い。そうこうしている内にミナミのライダーのセッキーと、少し遅れてローカル・ライダーのハジメくんが顔を出した。セッキーはdmkのハーフパイプ・キャンプのコーチでお馴染み。ハジメくんと、今日はここへは来られないがもう一人のローカル・ライダーのトオルくんも、今年の“祭り”の時日本に来てくれている。サラダとピザとチキン。チキンもピザも辛くてビールがすすむ。

それぞれ自己紹介をしておしゃべりも盛り上がってきた。そこでちょっと席を外して帰ってきたら、なんだかみんなが騒がしい。「どうしたの?」と近くの子に聞いたら、返ってきた答えがすごかった。今回、家族3人(父・母・娘)で初参加できてくださっていた石原さんご一家が、実は石原タカくん(石原崇裕:TEAM FLEA)のご両親とお姉さんだったのだ。石原タカくんといえばトリノ・オリンピックのハーフパイプ有力出場候補というビッグネームだ。思わず「え゛ーー??」と大声を上げる。さっきまで目の前に座った石原キミママに「あの子たちはライダーで、みんなちゃんとスポンサーがついているんです」とか「どうして他のご兄弟は一緒に来なかったんですか?」などと脳天気に話していた自分が恥ずかしい。というか今まで黙っていた石原さんがズルイ!!……。一気に酔いが醒めた。
BREW barを出たあとは自由行動。時間は7時半なのに空は日本だったら4時の明るさ。私は大好きなショップSHOW CASEを覘いたあと、仲間5人でバーにしけ込んだ。

Day 2 滑走日

2日目。いよいよ今日から山に上がる。朝カーテンを開けたら粒こそ落ちていないものの街路が濡れている。外は雨上がりの景色だった。山の上では雪が降ったらしい。時差ぼけのせいで妙に冴えた頭で仕度をし、山に上がった。ウィスラーは個人的には6年ぶりだった。ちょっと浅めの腰掛がついたゴンドラを、私は妙に気に入っている。長いゴンドラがトップにたどり着くまでに、歪んだアクリルガラスの外ではさらさらと雪が舞い出していた。

まずはウォーミングアップを兼ねて一本。今日いっしょに山を滑ってくれるのは、フサキさん、ハジメくん、タクミくん、セッキー、そして昨日は会えなかったトオルくんだ。全員で通称エメラルド・チェアと呼ばれるリフトに降りるコースのうち1つを選んで軽く流す。今朝降った雪はさらさらで5cm程度ではあるがパウダーだ。滑り出すと板の下にふわっと軽い浮力を感じる。ここ最近日本のゲレンデでずっとシャバシャバした春雪を滑っていたので、今この時期にこの軽い感触が味わえることが信じられなかった。みんなの口からも自然に「サイコー!」とか「すっげー、調子イイ!」なんて言葉が出ている。

あまりの気持ち良さにそれから2~3本流した。2~3本といってもウィスラーでは一本のチェア(リフト)の長さが長い。このエメラルド・チェアは425mある。直線のリフトがこの長さということは、滑走距離はそれよりはずっと長くなる。石原さんのキミママが最初あまり自信のなさそうなことを言っていたけれど、実際に滑り出したら、みんなから遅れるどころかフェイキーをよゆうでかますなめらかライディング。いやいや、本当に素晴らしい。エメラルドを数本流したあと、今度はレッド・チェアに移動する。さっきよりは幾分斜度もきつくなり、しかもコースが陰になっている部分が多いために、結構アイシーだ。このチェアも長さは555m。このあたりでみんなの気分が乗ってきたので班を2つに分けた。マッタリ班とガッツリ班だ。このあといろいろ呼び名が適当に変わるが要するにのんびり滑るチームとガンガンいくチームということ。本来なら私は自分の実力を考えずにガンガンチームにくっついて足を引っ張る役(?)なのだが、今回はスタッフの振り分けからマッタリチームにつくことになった。ガッツリのチームリーダーはハジメくんとトオルくん。マッタリはフサキさん、タクミくん、セッキー。

マッタリ班は名前の割にはチーム分けのあといきなりパイプに、そして続けてパークに入っていく。石原さんのお父さん、通称石原の父はパイプではエアー・ターンをかましていた。その上パークではレールもボックスも果敢に攻める。もう60歳を超えているのに…。この家族は父といい母といい本当に凄い。ちなみに姉のマキちゃんもパイプが得意だという。

まだ数本しか滑っていない感じだが実際に時間はそれなりに経過していて、午前中はこれで終了。とにかくハイシーズンのような雪にはみんな大満足だ。お昼はいわゆるゲレンデのレストハウスで取るのだが、そこはカナダ。規模が違う。まず席数がとにかく多い。日本ではよくある席取り、席待ちなどというお客さんの姿はまず見ない。今回に限らず私の今までのウィスラーの経験でも、そんな姿は1度として見たことはない。どんな時間帯でも空席は有り余るほどある。おそらくお客が空席を待ち立たされるなどという事態はサービスする側として恥じるべきこととして捉えているのかも知れない。もちろん食事の量も半端ではない。よくいう「コーラのLサイズは1リットル!」の世界だ。

午後になっても天候は晴れたり曇ったり。午後はジブ・レッスンということでまずは基本のオーリー・レッスン。ハジメくんの技が冴える。板の柔らかさというよりは、彼は体のバランス感覚が優れているのだと思う。ハジメくんは信じられないほどしならせた板の上で、苦もなくバランスを取っているが、普通ではちょっとやそっとでは真似ができない。

今日は初日だからということで3時を少し過ぎた頃に上がることになった。ゴンドラの中間駅からベースまではゴンドラで降りる。ベースの広場の前には広いオープンテラスを構えた数件のカフェテリアがあるが、その1軒のテラスに見慣れた顔が集まっていた。ちょうど注文したビールが出てきたところだったので、すかさず仲間に入れてもらう。こういうちょっとカッコいいことをやりたがるのはdmk日本取締役(?)のムラッチョさんだ。滑ったあとにオープンテラスで飲むビールはやっぱりウマイ。今日はこのあとアクティビティーとして湖に散歩へ行く予定がある。もちろん自由参加だけれど、ウィスラーの長い夕刻を過ごすにはピッタリの企画だ。

アクティビティーの散歩にはフサキさんの家族もいっしょに来てくれた。妻のシャーリーと息子の大河、娘のクレア、犬のチャーリーだ。目的地はロスト・レイク。
スケートボード・パークの脇を抜けて30分くらい歩くと目的地のロスト・レイクに着く。雨上がりの湖の空気は冷たく、波のない滑らかな湖面は鏡のように暮れ始めた空を映していた。
バギーを押したシャーリーを先頭に湖の周りを一周するトレイル・コースを歩く。所々の梢からリスの声が聞こえてくる。チャーリーはハスキー犬とブラックラブラドールの合いの子だ。青と茶、左右で違う目の色をしている。ハスキーに近い体躯で白地に黒の模様が入っている。彼はライフワークであるリス探しに懸命で、藪の中に出たり入ったりしながらみんなから着かず離れず着いてくる。森の出口近くでシャーリーは木に付けられたクマの爪あとや大型の野生の猫の爪あとなどを教えてくれた。かなりせっせと歩いたつもりだったが散歩は結局約2時間。ちょっと長めの散歩になってしまった。

夕食はカレー・ライダーことトオルくんお勧めのインド料理屋へ行くことになった。このキャンプでは夕食は昨日のウェルカムパーティー以外は自由に取ることになっている。
月曜の夜ということもあるのか、店内は空いていた。カレーにかけては一家言あるトオルくん。普段割りと言葉少なで控え目なトオルくんだが、好きなことにかけてはかなり情熱的になる。メニューを開き、料理一つひとつについて熱い解説を繰り広げてくれた。実はトオルくんは以前この店でアルバイトをしていたのだ。
そのトオルくんの絶対のお勧めがマンゴーシェイク。マンゴーアイスとミルクをシェイクして作るらしいのだが、実はこれが作る方としては結構手間がかかるらしい。私たちの団体は15人ほど。その全員がマンゴーシェイクを注文した。内情が分かるトオルくんとしては恐らく厨房では大変な騒ぎになっているだろうと、チラチラとカウンターの奥を見送り、苦笑いを浮かべながら、とにかく申し訳なさそうな顔をして身を小さくしていたのがおかしかった。オマケになぜか私たちのあとからお客さんが続々とやってくる。空いていた店内はあっという間にいっぱいになってしまった。予想外の混雑に厨房では本当に悲鳴が上がっていたに違いない。
カレーの味に関しては、もう本当に絶品。みんな脇目も振らずに平らげて、遠慮の欠片もない。もちろんマンゴーシェイクも超絶品。トオルくんの「コレが飲めたから時給が安くてもやっていられた」という言葉に、笑いながらも納得させられてしまう。大きなグラスにたっぷり入っているのに、おかわりした人もいた。みんなとっても満足したようだ。
トオルくん。ごちそう様でした!

Day 3 滑走日

翌朝カーテンを開けると、今日は青い空が覗いていた。この時期ウィスラーは夜もなかなか暗くならないけれど、朝もかなり早くから明るくなる。
ゴンドラのステーション前の広場では、今朝もきれいな声の鳥が鳴いている。ツグミの一種だろうか?どこで鳴いているのか姿はまったく見えない。
今日の主な予定はビデオ撮影だ。今夜はいつものお馴染みビデオ・クリニックをウィスラーでもやってしまおうという計画だ。そしてもうひとつ。今日はゲスト・ライダーが来る。誰が来るかは秘密だとか?
私は今日タクミくんの板を借りている。ランブルフィッシュというタクミくんがスポンサードを受けている板で、ツインチップで柔らかい、ジブにはぴったりの板だ。まず軽くウォームアップで流したあと、全員でピークへ向った。天気が良くピークからは最高の眺めが期待できる。ピークへは高所恐怖症の人にはちょっと辛い高さのあるピーク・チェアで登っていく。ピーク・チェアの終着点は高いクリフをふわっと乗り越えたところだが、その高いクリフの中程、チェアが通過するちょうど真下に広さにして畳一畳分くらいの小さな棚がある。恐らくこのチェアに乗ったほとんどの人が知っていることだけれど、その棚に積もった雪の上に、誰が描いたのかニコちゃん顔のピースマークが描いてある。どう考えてもロック・クライミングでもしない限り、上からも下からもちょっとやそっとでは辿り着けない場所だ。どうやって誰が描いているのか誰も知らない。でも確か以前、6年前にもそこには同じ顔があった気がする。もしかしたらずっと消えないのかな?と変な想像をさせられるニコちゃんマークだ。ただあのニコちゃんマーク、カワイク笑っているというより、どうしても「フフン!やってやったぜ!」とばかりに「ニヤリッ」と不敵な笑顔を浮かべているように見えるのは私だけだろうか。
ピークからは晴れていれば正面に有名な岩が見える。“ブラック・タスク”日本語にして「黒い牙」。高い山の上にさらに犬歯状に伸び上がった巨大な黒い岩なのだが、周りが雪で真っ白な中、岩は垂直に近い形で上に伸びているために雪が着かない。そのためにひときわ目立って見える。それをバックにみんなでバシバシ記念撮影をした。

さていよいよヒミツのスペシャルゲストの登場だ。その名はマット・チェンバレン!チェンバレンという名前から想像がつくようにマットはシモン・チェンバレンのお兄さん。現在はNOMISの代表取締役に就いている。その関係からかNOMISヨーロッパのマネージメントをしているマイクという背の高いイタリア人と一緒に登場した。マットは明るいブルーの瞳をした超イケメン。目を合わせるのがちょっと恥ずかしくなってしまうようないい男だ。
マットと最初にセッションすることになったのはマッタリチーム。「じゃ、いきましょうか」とスタートしたと思ったら、マットの背中はあっという間に遠ざかっていく。ゲレンデの端などでジブをしてくれているようなのだが、スピードが速くて後ろのほうが追いつく頃にはもうはるか先のほうに滑っていく姿が見えるだけ。そのあとパークに入ったが、天気がいいからなのかパーク内はかなりの混雑。おまけにマットは躊躇なくどんどんとアイテムをこなしていってしまうので、お尻のほうに残っていた私はパーク内ではとうとうマットのマの字も見ることができなかった。セッキーやタクミくんが「ちょっとマットに説明しないと。後ろの方はついていくだけで精一杯だよ!」などと相談して、マットにどうにか理解してもらえたようだ。そう、なにしろここはマッタリチームなんだもの。2本目はいくらか加減してくれたようで、ようやくそこここでジブっているマットの姿に追いつけるようになった。でも時間はすでに昼。マッタリチームとのセッションはこれで終了だ。

お昼を取った後、マッタリチームは午後からビデオ撮影の予定。マットとのセッションのガッツリチームについていっているフサキ隊長がその撮影を終えて帰ってくるまで、タクミくんがしっかりナビゲート&講習をしてくれた。dmk祭りの時に“クルクルパーマの少年”とあだ名がついたタクミくんだが、そのあだ名のとおり、ライトブラウンに染めた髪にクルクルのパーマをかけている。そのカワイらしい感じが、色が白くて細面の顔と彼の持っているやさしい雰囲気にぴったりだ。若干19歳だが、最近ランブルフィッシュを含めていくつかのスポンサーがつき、波に乗り始めている。ちなみに私が借りたランブルフィッシュの感想を言うと、ジブだけではなく割にどこでもついてきてくれる乗りやすい板だった。結構いいのが圧雪バーンでのハイスピード。常識では硬い板の方がいいはずだが、この板はこちらの動きに柔らかく反発して意外なサポート力を見せる。足の下で板が反発するのが感じられる瞬間が生き物に乗っているようで不思議な感覚だ。まさかとは思うけど名前のランブルフィッシュはそこから…??ともかく楽しい板だった。
タクミくんはフサキさんの口癖を真似して「あとでフサキさんに「ワーオ、凄いなぁ!」と言わせるように、頑張りましょう」とビデオに撮影する予定の大回りターンを内緒で講習してくれた。でも順番に滑った中で一番ダメだったのが実は、私、アヤ部長、ケイくんを含めるdmkスタッフたちだった。タクミくんに「ダメじゃないですか、スタッフさん。一番姿勢高いですよ。dmk大丈夫ですか?」と言われてしまった。うはー、ごめんなさい。精進します。

目いっぱいの一日を終えて山から下りて、今日はアイスクリームを食べに行った。しかし何を食べてもどれも量が多めだと思う。この量の差はどこから来るのか。やっぱり欧米人とは身体のサイズが違うからなのかな。
今夜は夜の8時半からビデオ講習だ。夕食を取ることも考えて行動しなければならないが、ここまであまり買い物する時間が取れていないから、山から下りたあと、時間があまりないのも承知で少しだけビレッジ内をウロウロした。
夕食は結局昨日カレー屋さんに行っていなかった人たち数人と、あのカレーをもう一度食べたいという人たちが連日のカレー屋攻めへ。残りの大半はマーケットで適当なものを買い込んで部屋で食べるということになった。マーケットへ行くとやはりいろいろなものが大きい。一人では食べきれないけど食べたいというものを2人でシェアしたり、みんな工夫して買い物をしていた。おいしかったのはチキン。1羽丸ごとの照り焼きを全員で分けて食べたのだが、解体しにくいチキンをていねいに骨から外してくれたのはエリちゃん。それをありがたく頂いた。ただ食事自体はバタバタしていた。なんだかんだで時間を取られ、とうとうビデオ・クリニックの開始時間を遅らせることになって、いくらかご機嫌斜めのフサキさんを若いライダーがなだめたりと、大騒ぎ。やりたいことが多すぎるんだよね、きっと。

ビデオ・クリニックは熱かった。というのも今回はフサキさんだけでなくハジメくんやトオルくん、セッキーやタクミくんもいっしょに画面を睨んで、気づいたことをアドバイスしてくれたからだ。それぞれに感じたことを持ち出しあって語ってくれるので、それを聞いているのもおもしろい。上手な人というのはちょっと見ただけで、何が悪いのか、どこを直せばいいのかがわかるんだなーと改めて感心する。他の人の映像を見ていて、簡単なことなら自分でも分かる時もあるけれど、ハジメくんたちが「そう!コレ!この時のこの手がね」などと言うのを聞いて初めて「ああそうか」と思うことも多い。私はといえば長い付き合いのフサキさんにかなり久しぶりに映像を見てもらうというだけで、なんか変な気分だ。ハジメくんたちに見られるのもこそばゆい感じがする。おそらくもう10年以上言われ続けている「前の腰で引っ張る姿勢」といのはいくらかよくなってきてはいるもののまだ治らない。フサキさんは「オレもこういうクセがあった時期があるから、この気持ちはわかるんだよなー。でもこれから上に行くためには直さなくちゃダメ。こんどオレの映像をみせるよ」と言ってくれた。ハジメくんはひと言「なんかパウダー、うまそう…」。ハイ。すみません。パウダーばっかり食ってます(笑)。でも本当にわずかな映像でそんなことよくわかるなーと感心した。
マッタリチームが終わったあと、ガッツリチームのクリニックが行われ、それが終わったのは日付が変わってから…。
こうして内容の濃い3日間の夜も終わった。明日は自由行動日。山に上がって飽くなき滑走を続ける人。ちょっとのんびりしてバンクーバーお買い物ツアー&ドライブ企画に参加する人。それぞれの一日を過ごすことになっている。

Day 4 フリー日

今回のツアーでは決行前から「せっかく春なんだから、山ばかりじゃなくて、なんか他のこともして遊ぼうよ」という意見も多く、レンタカーを借りてタクミくん主催のバンクーバーお買い物ツアーが8名限定で予定されていた。それ以外にもMTBでサイクリングという意見もあったのだが、お買い物ツアーへ参加したいという人が意外と多く、最終的には14名になり、もう1台車を借りることに。ドライバーはアヤ部長にお願いすることになった。
私も少々悩んだ末、バンクーバー行きに混ぜてもらった。以前から春のバンクーバーの雰囲気が大好きだったし、タクミくんが連れて行ってくれるという地元の人しか行かないようなお店でのランチ&ディナーという言葉にかなり魅かれたのだ。
朝、いつものようにカーテンを開けると空はきれいに晴れ上がっていた。今日は山も最高のはずだ。この空を見てしまうと山へ上がる人がちょっとだけうらやましい。

タクミくんが14人乗りのロングバンをホテルの前に乗り付けた。前日「これぞカナダ!といった感じの車です」と自信ありげの言葉を聞いていたが、まさに言葉どおりだ。もう1台は1800cc程度のセダン。そちらの方はNOMISの仕事で先に出掛けているアヤ部長の代わりに途中までセッキーが運転してくれる。
さっそくロングバンとセダンに乗り分けて出発した。ロングバンは運転席と助手席を除いて、後ろには3人掛けのシートが4列ある大きさ。実はタクミくんはこのサイズの車を運転するのは初めてだという。大きさにかなり緊張しているらしく、車を走らせながら仕切りと心配そうな言葉が出てくる。でも実際は不安なところはまったくなく、ていねいなドライビングが心地良く、走り出して程なく、後ろのシートではすっかりおやすみモードになってしまったくらいだ。
最初の目的地はドライブウェイの途中にあるビューポイント。雪を冠した山並みをきれいに見渡せる絶景ポイントといったところだ。路肩には車を停めてゆっくり景色が見られるように広めの駐車スペースが設けられている。そこに車を停めてみんなでさっそく記念撮影。
そこへちょうど日本車でいったらTOYOTAのRAV4のような車がスーッと入ってきて、私たちの車の後ろに並ぶように停まった。降りてきたのはチェック柄のワークシャツに明るい色のチノパンを穿いた、いかにも休日のお父さんのような風情の2人の白人男性。のんびりとドライブを楽しんでいるような顔でブラブラと私達の車に近寄ると、大きな声で何か話しかけてきた。こちらが振りかえるとチラッと警察手帳を見せて、写真を取り終わってからでいいからこっちへ来てくれというようなことを言っている。警官だ。一瞬みんな緊張した。でもここは駐車スペースだから駐車違反ということはないし、ここへ来るまでにスピード違反はしていないし、咎められるような理由は何もないはずだ。とりあえずタクミくんだけが戻って、警察官と話し始めた。べつに悪いことをした覚えはないからみんなもすぐに緊張は解けて、また写真を撮ったりリラックスしていると、警官の一人が「誰か他に英語が話せる人はいるか?」と聞いてきた。みんな大声で「NO~!」と返事をしている。「誰もいないのか?」「NO~!」。答えながら、でも英語の質問に答えているってことはみんな英語は理解しているんじゃん?とおかしくなった。
警官の職務質問は大きな車に何人乗せているのかとか、商売で客をはこんでいるのかとかそんなことだったらしい。カナダではいわゆる普通免許を持っていると、9人以下までの人を乗せることができる。人数さえ守っていればどんな大きな車を運転してもいいのだそうだ。

次の目的地はスコーミッシュ。最近できたというアウトレットストアに寄ったあと、ここでアヤ部長を拾う予定だ。待ち合わせはNOMISの本社前。その事務所が入った建物の前にアヤ部長、ムラッチョさん、フサキさんが待っていた。まだ真新しい2階建ての建物。NOMISオフィスも、階段の下ある郵便受けに小ぶりなロゴが入れてあるからわかる程度。他には何も主張しているものがない。そのそっけない感じがまたカッコいいなぁと思った。
まだ仕事があるというフサキさんとムラッチョさんをその場に残して、次に向ったのはシャノン・ホールズという名前がついている大きな滝。落差は355メートル?カナダで3番目の落差だとか。行った時間はちょうど滝の上部に太陽が重なるように当たるタイミングで、白い飛沫が反射して滝の周囲がぼーっと霞んで見える。なかなか感動する景色だ。川の流れに手を入れてみると水はかなり冷たい。ここには短いながらも尻尾の生えたカエルが生息しているという案内看板があった。しかも20年生きると書いてある。「うーん?20年生きる尻尾のあるカエル…?」見てみたいなーと思って岩の上などを気にしていたが、まぁそんな珍しいもの、簡単に見られる訳ないよね。

滝をあとにして車は昼食を取るために、小さな海辺の町に降りた。ホース・シュー・ベイというのんびりとした入り江に面した静かな住宅地だ。今まで何度も99号線を通っているのに、そういえば途中で道を降りたことなんて一度もなかった。
タクミくんが案内してくれたのは地元の明るいレストラン。サーモン&チップスがお勧めだという。そして出てきた料理は実際カナダに来て今まで食べた料理の中で一番やさしい味だった。おいしい上になんとなく安心できる味なのだ。町の雰囲気といい、ちょっと幸せを感じた瞬間だった。

かなりのんびりした午前中を過ごし、一行はようやくバンクーバーの東の外れにあるショッピングセンターに到着した。ここで2時間半のお買い物タイムだ。地下も含めて3階建てのこのセンターには470店のお店が入っている。広さ的には千歳空港の建物にお店が入った感じと言えばわかりやすいか。
2時間半は長すぎるかと思ったが、いざとなったらあっという間だ。私は日本にいたらいっしょに遊ぶ暇のないアヤと数年ぶり(?)にいわゆるショッピングを楽しんだ。私が買ったのは水着とスニーカー。12年前に初めてバンクーバーに来た時に、街の小さな靴屋で茶色のブーツを買ったのを思い出す。そのブーツは修理をしながら毎年履き続けて、この冬の初めまで現役だった。

買い物のあとは、バンクーバーの観光地として有名なガス・タウンに向った。途中、車はチャイナタウンを抜けていく。それらしい龍のオブジェが乗っている街灯が通りを飾っているが、どこまで走ってもその街灯がなくならない。同じ窓の外を眺めていたかずパパがボソッと一言「でかいなぁ…」と言った。チャイナタウンの大きさのことを言っているのだ。私も「でかいっすね…」と同じトーンで相槌を打つ。確かにこんなに大きなチャイナタウンは、世界でも希ではないだろうか。車の中ではキミママがお孫さんに買ったというお土産も見せてもらった。買い物中の話を楽しそうに話してくださる。キミママは本当に朗らかな人で、周囲を楽しくさせるような人だ。今回のキャンプではキミママのおかげで本当に楽しい思いをさせてもらった。
ガス・タウンはバンクーバーの発祥の地。辺りの建物は19世紀に作られたものだ。
車を停めてレンガで作られた古い街並みを歩く。この街には蒸気で動いている時計があってなんでも世界で唯一とか?15分ごとに蒸気を吐き出し、それと共に笛がなる仕組みだが、いくら待ってもそれらしい気配もない。時計の上部からは細く蒸気が出ているし、目の前のガラス越しに見えるピストンもわずかに動いているように見えたけれど、残念ながら故障していたようで、ついに笛の音は聞けなかった。

夕食は地中海料理のお店へ行った。ここも地元の人しか行かないようなお店だ。陽気なウェイターが私たちのテーブルを担当してくれた。こっそり付けたあだ名は“マリオ”。どこかのゲームのヒゲの配管工に似ているといえば、わかってもらえるだろうか。ただしこちらは痩せていたけれど。
初めて食べるような料理もあったが、あらかたの料理にみんな満足できたようだ。デザートもボリュームがあってうまい。お腹もいっぱいになって陽気なマリオに別れを告げた。

「今日の最終目的地へ向いましょう」マリオの店を出たあと、タクミくんはそう言って車をスタートさせた。今日の最後の目的地はバンクーバーの夜景が見下ろせる山の上。山へ登る途中の道すがら木立の間からもチラチラと夜景が見えている。それだけでもとてもきれいに思えたけれど「これくらいで感動しないでください」とタクミくんが言う。そして彼が「ここです」と言って車を停めたその場所から見えたのは、手前に横たわる真っ黒に沈んだ夜の入り江。その入り江を挟んだ向こうに広がるのは、涙が出そうな光の海だった。見渡せる限りのすべてがオレンジ色の光の粒で埋め尽くされて、遠くの方の光は陽炎のように小さく揺らめいている。足元に広がるその景色に圧倒されて「凄い…」とか「きれい」と言うのが精一杯。ほかに言葉を見つけることができなかった。夜景というのはただそれだけで人を感動させる力がある。それは、もしかしたらそれがただの光の集まりではなく、その光の下に人の生活があることを、見る者が知っているからなのかもしれない。

もう12時を過ぎていたにもかかわらず、部屋に戻るとエリちゃんがまだ眠そうな顔をして起きていた。山チームは今日一日トオルくんといっしょに滑っていたという。「もう、すっっごく楽しかった!」という言葉から始まって「トオルくんがまだ行ってない場所にも連れて行ってくれたんだー。あとはねー…」などとエリちゃんは本当にめちゃめちゃ幸せそうな顔で、しばらく今日のことを語っていた。夕食は日本食レストランに行って、そこには“ベントウBox”なるメニューがあったとか、そんな話も教えてくれた。ベントウBoxか…。まぁ、店のオーナか誰かがそのネーミングをつけた気持ちは、なんかくすぐったいけどわかる気はする。日本にだって相当怪しい英語が繁殖しているから。
エリちゃんは今日のできごとを教えてくれたあと、その笑顔の余韻を残したままベッドへもぐりこんでしまった。それを見ていてこちらまで嬉しくなる。どうやら山チームもかなりハッピーな1日だったようだ。

Day 5 滑走日

翌朝は、少し寝不足のままカーテンを開けた。青空。2日目に降られた以外は天気にはついている。そして今日でウィスラー・キャンプも4日目。寂しいけれど山へ上がるのは最後の日になる。しかし今日はスペシャルゲストとしてルーブ・ゴールドバーグが登場する予定だ。ルーブのことは『浪人』シリーズのビデオではよく知っているけれど、去年このツアーに参加していない私は本物のルーブに会うのは初めて。
いつものゴンドラステーション前、ルーブは約束の9時を5分ほど過ぎた頃、ボードを小脇にどこからともなくひょこっと現れた。自分が遅れたくせに、たまたまトイレから戻ってきたフサキさんに向って「オマエ遅いよ~」なんて言ってふざけている。一昨日のマットもいい男だったが、ルーブの男前ぶりも相当凄い。少し茶色味を帯びた青色の大きな瞳、わずかに垂れ目の深い二重まぶた。人懐こそうなその目元が、まず甘い!そして緩やかに、けれど高く隆起した鼻梁。当然のように粒が大きくてきれいな歯並び。この3点セットでにっこり笑われると、その笑い皺がまた超甘い!!たぶんマットよりも日本人受けする顔立ちなのだろう。噂には聞いていたがとにかくルーブはルックスも話し方も含めて、すべてが極甘なのだ。うーん、昨日マリオの店で出た前菜のニンニク風味たっぷりのディップを今頃になって後悔する。仕方がない、無駄とは思いながらも息を止めて(笑)2ショットの写真を撮ってもらった。

今日は班の担当をチェンジして、マッタリ班にはトオルくんとハジメくん、ガッツリにはタクミくんがついてくれる。
マッタリチームは最初にルーブと滑る。ルーブは最初からとてもスローに滑ってくれた。大きく切っていくカービングのライン。まだ荒れていない雪面に確実にきれいな1本の線が残されていく。後ろの手を肘の高さにふわっと持ち上げて滑っていく、力の抜けたナチュラルなスタイルだ。あのきれいなラインを盗みたいと思い、残されたラインを忠実にトレースしようとするけれど、どうしても抜重のあたりでカバーしきれなくなる。
ルーブはゲレンデの端で遊ぶのも得意だ。一番凄かったのはコースの分岐点に張ってある腰ほどの高さのロープを、オーリーで越えるという遊び。ロープの張ってあるコースの端の反対側にあたる小高いところから助走をつけて、ロープの下側、少し手前から始まる段差を利用してオーリーを掛ける。パッと見ちょっと厳しい?という印象を受けるそのロープをルーブはソールを触れさせることもなく難なく越えた。スゴイ。しかし続けてチャレンジした我らがハジメくんもクリア!さすがハジメくん!

午後はガッツリ班がルーブと滑る。マッタリ班はハジメくん&トオルくんのオーリー教室実践編が開かれた。午前中を上がる少し前、私はタクミくんに呼び止められ1本だけガッツリ班といっしょに滑った。やはりガッツリを自称しているだけあって、マッタリよりはレベルが高い。パークでも誰も躊躇することなくどんどんアイテムに入っていく。このレポートではガッツリチームが何をしていたのかまったく触れる機会がなかったけれど、1本いっしょに滑らせてもらった感覚では、この3日間相当やんちゃをしていたんだと思う。

ハジメくんは祭りの時にも着ていた、デニム素材のジャケットがよく似合う。そのジャケットのポケットに両手を突っ込んでゲレンデの端から、みんなの滑る様子を眺めている姿が印象的だ。ミラーのドラゴンの下から覗いている笑った口元が、実は結構イケているとも思う。祭りではあまり笑顔を見かけなかったような気がするけれど(風邪だったという話もあるが)、ウィスラーではずっとたくさん笑っている気がする。全体的にメロウな印象だから気づかれにくいかもしれないけれど、本当は結構やさしいところもあるし、面倒見が良かったりもする。わからないことややってみたいことなど質問すると思いのほかていねいに教えてくれる。フサキさんと合流する前に少し早めにあがって、休憩を取った時に話をしてくれた、ウィスラーに来てからの英語の勉強の話や、ボードがうまくなりたくて、うまそうなヤツと友達になったら、それがシモンだったとか、そういう本当はちょっとした苦労話なのかもしれないが、緩やかな波のようにのんびりと話すハジメくんの話し方も手伝って、さして苦労話には聞こえなくなる。もしかしたらハジメくんにとっては本当に苦労には感じていないことなのかもしれない。少し独特だけどすっごく魅力的なナイスガイなんだなーと感じる。

ルーブと滑っていたガッツリ班が帰って来た。フサキさんと合流して、ルーブを見送って、これでとりあえずウィスラー・キャンプのボードの部は終了になる。3日間、人によっては4日間、たっぷり滑ったはずなのに、まだ滑り足りない人だけ残って滑ろうということになったら12人も残った。ところがリーダーはハジメくん一人。「え~、オレ一人でこんなに~?ちくしょー逃げられた(笑)」。別れたあと数えてみたらこの人数だった訳だが、そう言いながらも、ハジメくんはピークを中心に、まだ行ったことがなかった右の端のほうや最終的にはブラックダイアモンド◆1コ付きの超急斜コブコブコースにまでナビゲートしてくれた。ハジメくんに感謝したい。

この日の夕方ロスト・レイクでバーベキュー・パーティーを行った。ウィスラー・キャンプの最後の夜を盛大に盛り上げてやろうとdmkのウィスラー・メンバーが主催してくれたのだ。ロスト・レイクの湖畔には無料で使えるバーベキューコンロが6~7台備え付けてある。炭や食材を持ってくれば自由に使っていいのだ。

ホテルの部屋で用意した食材をタクミくんのハイラックスに積み込み、準備のために一足先にロスト・レイクに行くと、周辺にはなんだか自転車にまたがった人たちがワサワサと群れている。ざっと見た感じでも80人は下らない。どうやら自転車愛好会(?)の人たちがレースを行なうらしいのだ。まぁレースといってもイベント的なのんびりしたムードだ。サウンドシステムまで持ち込んでいるらしく、しっかりした音質で陽気な音楽も鳴っているし、とにかくみんなニコニコと楽しそうだ。それにしてもこちらがバーベキューの準備を進めている間にもどんどん人が増えていき、気がつくともの凄い数だ。最終的に自転車軍団は120~130人にはなっていたかもしれない。

ビレッジから出ている無料のバスに乗って、みんなも湖に到着した。バーベキュー・パーティーの開始だ。バーベキューといっても肉や野菜を串に刺して焼くスタイルではなく、網や鉄板の上でハンバーグやソーセージを焼きそれをパンに挟んでバーガーを作るスタイルだ。レタス、トマト、玉ねぎはたっぷりあるし、とろけるチーズもちゃんとある。
カナダでは条例で屋外での飲酒を禁じられている。そこで缶ビールの箱に脱いだ上着を掛けて隠し、木立の影でプラスティックのカップに注いでから飲む。少し温めのせいか盛大に泡が盛り上がるので、カプチーノと呼ぶことにした。
ハンバーグはみんなが「フサキさんに焼かせると、よく焼けてなくても「カナディアン・スタイル」とか言って、きっと中まで焼かないよ~」(失礼!)などというので、結局、責任感の強いタクミくんが一生懸命焼いてくれたが、これが凄くウマイ。

コンロから少しはなれたテーブルにはいつの間にか“セレブの食卓”なるものができていて、クミちゃんやキミママなどセレブなお姉さまたちがセレブな注文を入れてくるようだ。体の大きなハヤトが「なんでオレがー…!」と言いつつも、コンロとテーブルの間を何往復もしてバーガーやポテトチップスなどを運ぶ姿がおかしかった。オマケにいつの間にかムラッチョさんが支配人、女性マネージャーが私など勝手な役職が付けられていて、ムラッチョさんから「オマエ、ちょっと行って謝ってこい!」などとおもしろがって指示が来る。私もふざけてテーブルに出向き、被っていたキャップを取って頭を下げてみせる。そう、セレブのお姉さまたちはどこの世界でもエラくて、ちょっと厳しいのである。

バーベキューにはルーブも来てくれた。ルーブは友達だといって謎の黒人のお兄さんといっしょにやってきた。なんでも世界的に有名なビデオエディターだという。ルーブのビデオも撮ってくれているそうだ。こんなふうに山でだけでなく、気軽に仲間として交わってくれるルーブの気持ちがありがたい。

日が傾いて少し暗くなってくると、湖には蚊が出てくる。しかもこの蚊がでかい。体長が1.5cmから2cm。日本の蚊の優に2倍はある。体が大きい分動きも緩慢で、あざとく刺してくるということは無いが、刺されると大きく腫れるらしい。バーベキューの食材も尽き、その蚊がブンブンはじめたので、プレゼント大会をやってお開きにすることになった。

今回も協賛してくれた各社からたくさんプレゼントをもらったほか、ライダーたちもプレゼントを用意してくれた。そして、ルーブはなんと全員のために20点以上プレゼントを用意してくれてきたのだ。しかもそれをジャンケンなどでなく、ルーブが一人ずつに対し「これはこの人に」というふうに選んで渡してくれた。このプレゼント方法は凄く嬉しいことだった。そして最後に出てきたのがタクミくんが用意してくれたプレゼント。なんとバートンのジェレミー・ジョーンズのシグネチャー・ボード!この嬉しいプレゼントは全員ジャンケンで参加していいということになったが、すみません。申し訳ないことに例の女子マネがいただきました。

最終日の朝。私は昨夜のバーベキューのあと、外に飲みに出かけてまったく荷造りしていなかったので朝の5時からゴゾゴソと荷造り。毎朝開けていたカーテンを開けると、今日も天気が良さそうだ。もう山もドライブも関係ないのだから、天気はどうでもいいはずだけど、やっぱりどうせなら帰る日だって晴れの方が気分がいい。
おみやげが増えて来る時よりは重たくなった荷物をどうにか部屋から出し終えた頃、ホテルの前にジャパナダさんの大型コミュータが到着した。
フサキさん、タクミくん、セッキー、ケイくんもみんなを送るためにホテルまで来てくれた。そしてフサキさんとはここでお別れだ。なんとなく言いたいことはいっぱいあるけれど、だからといって言葉にならない。でも言葉なんかなくても、きっとちゃんとつながっている。お互い少しいたずらっぽい笑顔で「それじゃ、また!」と言ってがっちり握手した。

空港へはいつもの99号線をバンクーバーへ向かって上っていく。海と山しか見えなかった景色から、いつのまにか街に入った99号線を降り、バンクーバーの市街に入る。週末の午前中、バンクーバーの街は人と車で活気を帯びている。その街ともバスのガラスの窓に遮断されたまま、今日は他人事のようにすり抜けていく。店舗やビルが姿を消し広い庭の住宅が目立つようになってくると、もう空港も近い。気がつくと、来た時にはまだ咲き残っていた街路の八重桜もすっかり散って、代わりに家々の庭でシャクナゲが花盛りを迎えていた。たった6日間だったのにはっきりと季節が移ろっていることに驚いた。もうすっかり緑の葉を濃くして、その下の路面にだけわずかに散り敷かれた桜の花びらと、空に向って見事に咲き誇るシャクナゲを見ながら、短かったような気がするけれど、こうしてみるとやっぱりちゃんと大きな6日間だったのだと思った。

バンクーバー空港は大きな窓から豊富に自然光が入る明るいつくりになっている。その光の中で空港まで見送りに来てくれたタクミくんとセッキーとケイくんと、このままカナダ旅行に出かけるアヤと、一人ひとり握手してお別れした。「それじゃ、また!!」。

このキャンプについて一言だけ感想をいただきました!どうもありがとー♪♪♪

しんぺいくん
チームワークの良さが凄い。楽しかった!キャンプとかにはほとんど参加したことがなかったけれど、こんなに凄い団体行動ができるのかと驚いた。

みっくん
ウィスラー・ライダーたちとルーブとの再会が嬉しかった。カナダに来たことは超良かったと思う。

とおるちゃん
天気が良くて、フリーランがおもしろかった。

ヨリちゃん
キャンプやスクールは初めてだったけれど、凄く楽しかった。ビデオ・クリニック楽しかったです。

クミちゃん
全部楽しかった!ケガしているのも忘れるくらい…(笑)。
追記:クミちゃんは今シーズン脱臼しています。そしてこの発言で急遽“脱臼部”が結成されました。脱臼部の構成は以下の通り。総帥:フサキさん、脱臼部部長:ハジメくん、女子脱臼部:クミちゃん、脱臼部新入会員:マサルさん(このキャンプの初日に肩を脱臼してしまいました)。脱臼暦の古い順から偉くなれるようです。

みゆねー
ウィスラー・ライダーにメロメロ(ハートマークつき!)

こーき
カレーがウマかった。ライダーさんの後ろをついて行ったのが楽しくて仕方なかった。

ノギー
初めての参加で、空港ではいきなり「ノギー!」とか呼ばれるし、どうなることかと思ったが凄く楽しく過ごせた。ビデオ・クリニックも役に立ったし、楽しかった。

脱臼部:新入会員マサルさん
一番印象に残ったことは脱臼(笑)。初日が良かった(笑)。←(初日しか滑ってないだろう?との突っ込みを受ける)パウダーごちそう様って感じ。
スコーミッシュの買い物が楽しかった。

まるりん
初体験のバンクーバーが楽しかった。タクミくんありがとう(ハートマークつき!)

かずパパ
天気が良くてひじょうに楽しめた。3日間ハジメくんに教えてもらえて良かった。バンクーバーに連れて行ってくれたタクミくんにも感謝しています。来年もまた来ます。←(家族3人で参加のかずパパに「おおー!スゲー」との喝采。パパ、大丈夫??(笑))

ハヤト
これでひとつ夢がかなったので、また次の夢を見つけてがんばります。初海外でしたが、海外に来て日本と海外の生活の違いがわかったし、自分はまだ人間が小さいなと思った。まだやらなきゃならないことがあると思った。

えりちん
来る時に緊張しすぎてお腹を壊したけど、楽しかった。景色がきれいだった。山が全部楽しかった。来年は彼氏と…☆

ひな
パーティー&スノーボードが楽しかった。

キミママ
自分の年齢のことも考えて、最初はスッゴク不安だった。それがスッゴク楽しめたのは、みなさんのおかげだと思う。だって息子や娘くらい年の離れている人たちと、こんなふうに接する機会なんて普段はないから。それがもうすごく普通に、息子や娘の感覚で接することができたことが楽しかった。

ケイくん
来年も待ってまーす!

セッキー
SBJの大会で来たので、たまたま合流したけれどキャンプっぽいキャンプではなく、自然を感じられるようなキャンプで良かったと思う。

トオルくん:カレー・ライダー
何が嬉しかったかというと、カレーのおいしさをみなさんに伝えられたこと(笑)。カレーとスノーボードの融合というか(笑)←(当然みんなに「なんだそれ?」と突っ込まれまくり)、そういうことが伝えられたと思う(笑)。残念だったのはクマに会えなかったこと。この時期ウィスラーではクマをよく見かけることができるので、見てもらえなかったのは残念。

ハジメくん:牛乳ライダー
普通のスノーボード・キャンプがどんなものかわからないけれど、みんなが楽しかったと言ってくれたので良かったと思う。3~4日くらいではウィスラーという山を1/1000も伝えられないと思う。それは一冬いたとしても全部は無理。だから冬にも来てください。うーん、そうだな、できれば1年間(笑)。
たまに日本に帰って電車に乗ったりすると、みんな凄く大変な思いをして働いているんだなーと思う。だからウィスラーでの思い出が、働いているみんなの癒しの思い出になればいいと思う。

タクミくん:ラーメンの小池さん
フサキさんの「タクミ!dmkキャンプ、任せたぞ!」のひと言ですべて、空港への送り迎えとかも含めて、全部任されて大変なことになった(笑)。
バンクーバーへ行ったみなさん、お疲れさまでした。10時に帰れなくてごめんなさい。
キャンプはいろいろ頑張りすぎて、緊張もあって、ちょっと体調も崩しそうになった。でも楽しんでもらえて良かったと思う。

クラブを代表してアヤからメッセージ
3年前にウィスラー・ライダーと会って、みんなにウィスラーに来てほしいと思ってから、これで2年続けました。楽しんでもらえて良かったです。
ウィスラー・ライダーのみなさん、滞在中は朝から晩まで本当にお世話になりました。ありがとうございました。特にタクミくん、忙しさと相当なプレッシャーの中で体調を崩しながらも、ずっとがんばってくれ続けたこと、感謝しています。ありがとう!

このキャンプのインフォメーション

日程:
4/30 16:30頃成田空港集合 嬉しい時差により 4/30 11:05バンクーバー着
4/30,5/1,2,3,4 ホテル宿泊(5/1,2,3,4は朝から晩まで遊べるよ~)
5/5 朝ウィスラー出発 悲しい時差により(笑)5/6 14:55成田空港着

キャンプ(ツアー)開催地: カナダ ウィスラー&ブラッコム

宿泊先: Whistler Village Inn & Suites

キャンプ費: ¥220,000
(成田~バンクーバー間のエアー代・バンクーバー~ウィスラー間の交通費、5泊朝食(軽食)付き宿代・コーチ&ガイド代、1Night夕食&パーティー代)

ツアー参加人数: 18名

コーチ&案内人: 飯田フサキ、大原タクミ、秋山トオル、平野ハジメ、セッキー、ルーブ・ゴールドバーグ、マット・チェンバリン

同行スタッフ: ムラッチョ、アヤ、モリッペ、ケイ

協力スポンサー関係: MINAMI、RONIN RIDING MANIA 、nomis 、FLUX、Rumble Fish、Forum Snowboard、Bataleon、Grail、ARBN、Misty、Special Blend、acharm、NITRO、DRAGON、Billa Bong、YAMAHA Resort、Field Gate

 

 

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